大相撲の歴史において、端正なマスクと重厚な右四つの相撲で多くのファンを魅了し、土俵の内外で強烈な存在感を放った元関脇・琴ノ若晴將(ことのわか てるまさ)。山形県尾花沢市出身で佐渡ヶ嶽部屋に所属した彼は、現役時代に数々の強豪力士から金星を奪うなど、実力派の看板力士として一時代を築きました。
引退後は師匠として佐渡ヶ嶽部屋を継承し、現在の相撲界を牽引する二代目琴櫻(琴ノ若傑太)を育て上げるなど、指導者としても卓越した手腕を発揮しています。本記事では、元関脇・琴ノ若晴將の輝かしい現役時代の軌跡や金星の数々、佐渡ヶ嶽部屋継承の劇的な経緯、そして受け継がれる四股名の絆と現在の様子について、公式データを基に解説します。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:最高位西関脇を誇り、横綱・貴乃花や朝青龍などから通算で数多くの金星を獲得した実力派力士。
- 要点2:1996年に師匠の長女と結婚し、婿入りと佐渡ヶ嶽部屋継承が決定した異色の経歴を持つ。
- 要点3:長男である二代目琴櫻へ「琴ノ若」「琴櫻」の由緒ある四股名を継承させ、現在の佐渡ヶ嶽部屋の礎を築いた。
琴ノ若晴將のプロフィールと現役時代の輝かしい歩み

琴ノ若晴將は1968年5月15日生まれ、山形県尾花沢市出身。本名は鎌谷満也(旧姓今野)。身長191cm、体重181kgという恵まれた体格を活かし、右四つからの寄りや上手投げを得意手として土俵を沸かせました。美男子として知られ、女性ファンからの人気も非常に高い力士でした。
1993年9月場所での新小結昇進以降、小結と平幕を行き来する時期が長く続きましたが、地道な努力と抜群の相撲センスで番付の上位に定着します。1995年7月場所で初の三賞(敢闘賞)を受賞して以降、上位陣を脅かす存在として頭角を現しました。
横綱を圧倒した金星の数々と数々の名勝負
琴ノ若の代名詞とも言えるのが、横綱・大関陣から白星をぎ取り、幾度となく金星を獲得した勝負強さです。1996年7月場所では曙、貴乃花の両横綱を破るダブル金星を達成し、殊勲賞を獲得。さらに2000年1月場所では貴乃花から金星を奪い、2003年3月場所および同年7月場所では当時の若き横綱・朝青龍からも連破して金星を挙げました。
しかし、栄光の裏で度重なる大怪我にも見舞われました。2003年7月場所で朝青龍に勝った際に右大胸筋を挫傷し、箸すら持てないほどの過酷なリハビリを経験。さらに2003年11月場所での膝の負傷など、幾度も引退の危機を乗り越えて土俵に立ち続けました。痛みに耐えながら、家族や子供からの励ましを支えに復活を果たし、2004年3月場所では33場所ぶりとなる三賞を獲得するなど、執念の相撲人生を示しました。
【公式データ比較】元関脇・琴ノ若晴將の主なキャリアと足跡
| 時期・場所 | 主な出来事・実績 | 備考・詳細 |
|---|---|---|
| 1968年5月15日 | 山形県尾花沢市で誕生 | 本名:鎌谷満也、旧姓今野 |
| 1993年9月場所 | 新小結昇進 | 初日から8勝7敗と勝ち越しを果たす |
| 1996年7月場所 | ダブル金星獲得 | 曙・貴乃花の両横綱を破り殊勲賞を受賞 |
| 1999年1月場所・3月場所 | 最高位「西関脇」に到達 | 悲願の関脇昇進を果たし実力を証明 |
| 2003年3月・7月場所 | 朝青龍から金星を獲得 | 怪我を乗り越えて通算の金星を積み上げる |
| 2006年5月27日 | 両国国技館で引退相撲 | 現役生活に幕を下ろし、年寄・佐渡ヶ嶽を襲名 |
佐渡ヶ嶽部屋継承の経緯と運命的な結婚
琴ノ若のキャリアにおいて大きな転換点となったのが、私生活における大きな決断でした。1996年4月に師匠の長女と婿入りの形で結婚。この結婚により、将来的に佐渡ヶ嶽部屋を継承することが内定しました。
当時の相撲界において、名門部屋の継承と現役力士としての活動を両立させることは並大抵の努力では成し遂げられないものです。しかし、彼はプレッシャーを跳ね返し、番付の上下に翻弄されながらも長く幕内上位で存在感を示し続けました。2006年5月の引退相撲をもって現役を退き、年寄・佐渡ヶ嶽として部屋の舵取りを引き継ぐことになりました。
二代目琴櫻へと受け継がれた四股名の絆
引退相撲において、当時まだ幼かった長男(将且・現二代目琴櫻)と取組を行ったことは、相撲ファンの間で語り草となっています。入門後には「琴ノ若」の四股名を継承させる約束が交わされ、将且は高校卒業後の2015年11月場所で佐渡ヶ嶽部屋に入門しました。
初土俵から「琴鎌谷」の四股名で経験を積み、2019年7月場所での十両昇進に伴い「二代目琴ノ若」を襲名。加えて、生前の先代親方と交わした約束通り、大関昇進を経て伝統ある「琴櫻」の四股名を継承しました。父・晴將が築き上げた土俵際の粘り強さと正統派の右四つの技術は、しっかりと息子へと受け継がれ、現在の躍進を支えています。
【琴ノ若晴將】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:琴ノ若晴將の最高位は何ですか?
A1:最高位は西関脇(1999年1月場所、3月場所)です。小結と平幕を長く往復しながらも、悲願の関脇に昇進しました。
Q2:現役時代に通算でいくつ金星を獲得しましたか?
A2:貴乃花や朝青龍などの歴代横綱から数々の金星を奪取し、通算で8個の金星を獲得した実績を持つ実力派力士として知られています。
Q3:現在の佐渡ヶ嶽部屋での活動や息子との関係は?
A3:現在は佐渡ヶ嶽部屋の親方として後進の指導に当たっており、長男である二代目琴櫻(琴ノ若傑太)に自身の四股名や「琴櫻」の名を受け継ぎ、名門部屋を支えています。
まとめ:名門を支える情熱と受け継がれる相撲道
元関脇・琴ノ若晴將の相撲人生は、度重なる怪我や番付の不遇を不屈の闘志で跳ね返した、まさに「努力の軌跡」そのものです。横綱から奪った数々の金星や、取組で見せた気迫あふれる右四つの相撲は、今なおファンの記憶に深く刻まれています。
師匠として佐渡ヶ嶽部屋を引き継ぎ、先代から託された伝統を守り抜きながら、二代目琴櫻という偉大な継承者を育て上げたその手腕は特筆に値します。現役時代から変わらぬ相撲界への情熱と深い愛情は、今も次世代の力士たちへと確実に受け継がれています。